片思い経由、恋愛行き
その日の昼休憩、クラスの隅で話す子たちの会話を耳にした。
『あたし、中学で好きだった男の子がいたの。でもその人すごく無愛想でさ、誰も受け付けないってオーラで、結局話しかけることもできなかったんだ』
『わーそれ悲しいー』
…まるで郁也くんのことみたい。
あの人も無愛想で受け付けないオーラで……怖かった。
『でもね、その人の親友はすごく優しい人でさ』
『へぇー』
『どうしてあの2人が仲いいのかなって、今でも不思議なの』
『あはは。そんなこともあるんだねー』
ふふふ。
瑞樹くんたちと同じだ。
ふわっと笑う優しい笑顔が目に浮かぶよ。
「…なににやけてるの。気持ち悪いなぁ」
「あ…いや…」
咄嗟に顔の筋肉に力を入れた。
変なものを見たようなマイちゃんの目が気まずい。