片思い経由、恋愛行き


「ん、何だよ!?まさかお前、ついに一線超えたのか!?」



目を大きく開いて郁也がこっちを向いた。



「まあなー、俺だって男だからなー。女の子の1人や2人くらい、余裕だわー」



なんだか楽しくてにやけ顔で喋る俺。



今日は口がよく滑る。



思ってもいないことまでツルツルと出ちゃうもんだから、陽気に発言しながらも内心はヒヤヒヤ…



…そんな俺の心境をいとも簡単に見破った郁也は、冷めた顔をしてイヤホンを耳にさした。



「ちょちょちょちょっと待って郁也!音楽じゃなくて俺の話を聞いてくれ!」


「いってぇ!!」



ブチッと勢いよくコードを引っ張った。



叫びと共に必然的に郁也の両耳が空いた。
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