片思い経由、恋愛行き


それから5分後にきたバスに揺られ、学校前の停留所に着いた。



鞄を肩に掛けて出口から降りる。



シューッと音を立ててドアが閉まり、バスは黒い煙を吹き出しながら去っていった。




今の時刻は08:20



チャイムが鳴る10分前のこの時間は、校門前が人であふれかえっている。



正直、この人ごみに息が詰まる。



だけど仕方ない

俺の住む田舎には、朝はさっきの時間にしかバスは来ない。



次のバスに乗って昼休憩に登校するよりは、何百倍もましだ。



しかもあのバスは、俺以外の乗客はほとんどないに等しい。



それでも何らかの理由で廃線にはならないらしく、俺にとっては有難い、俺専用のバスだったりする。



今日も心の中であのバスに感謝しながら、自分のクラスに向かった。
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