片思い経由、恋愛行き
「そうなんだ。
そういう子って、素敵だよね。きっと女のわたしでも憧れると思う」
そう言ってふわふわと笑う目の前の人。
それはキミのことだよ。
…とは言わない代わりに、俺もにっこり笑って頷いた。
ていうか、気付いていないんだ…
自分がそういう素敵な人だっていうこと、自覚していないのか。
「今度はわたしが質問してもいい?」
「うん」
成海さんが顔だけをこちらに向け、その瞳に俺を映した。
「瑞樹くんの趣味は?」
「ん、趣味か。そうだなぁ…」
頭をひねらせて考えてみた。
「……睡眠…?」
「え?」
「寝ることが好き…かな?」
「…それって趣味?」
俺の回答に、成海さんは理解できないと言わんばかりの顔。
「…だって別に他に好きなことってないし、時間があれば寝たいし…」
何だか言い訳でもしているような気分になってきた。
…でも確かにこれは趣味とは言えないか…?