片思い経由、恋愛行き


「あ、もうバスが来ちゃった」



そう言って指差す成海さんの前に、ゆっくりとバスが近づいて停まった。



盛り上がっていた俺の気持ちは、次第に急降下。



せっかくいいところだったのに…!




「またね」


「うん…」



ここから離れていく姿を、目で追うしかない俺。



「行ってらっしゃい」



せめてもの気持ちで小さく手を振った。



「行ってきます」



決まり文句で返してくれる言葉。



悔しいけれど、どれだけ寂しくても、この挨拶だけで胸がいっぱいになる。





“行ってらっしゃい”

その一言に

込める想い

キミは気付いて

いるのだろうか…



瑞樹、哀愁の一句。




……哀しいんだか何なんだか…


初めてのこの気持ちがもどかしい。



あー、恋って難しい!!
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