片思い経由、恋愛行き


心臓の鼓動がうるさい。



静まり返ったこの空間に、ドクドクという低音が響き渡る。



緊張は最高潮。



手だけでなく、全身が汗ばんできた気がする。



視界には自分の足元のみ。



お辞儀をした状態で、成海さんの返事を待つ。



成海さんは今、どういう顔をしているのだろう…?







「…うん、いいよ」



…そう聞こえた気がした。



聞き間違いだろうと思い、そっと顔を上げる。



だけど俺の思いとは裏腹に、成海さんは微笑みの表情。



ほんの少し頬が紅いように見えなくもない。




…きっと、その表情が俺への返事。



成海さんは俺の誘いに応えてくれた。
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