片思い経由、恋愛行き
「あの、瑞樹くん…そんなにまじまじと見ないで。…恥ずかしいよ」
目の前の人がそう言って頬を赤らめた。
「…あ、ごめん。成海さんが可愛くてつい…」
自分の気持ちがまた口から滑り出た。
ほんと、何なんだこの口は!!
「そ…そんなこと言われたら、恥ずかしくて瑞樹くんの顔見れないよ…」
本当に恥ずかしそうな顔で成海さんが言う。
真っ赤な顔を隠すように、俺から顔を背けている。
「…わたしは全然可愛くなんかないよ。
それより瑞樹くんの方がかっこいい。男の子のそういう格好、好き」
横を向いた成海さんの口から、そんな言葉が聞こえた。
俺が…かっこいい??
黒いパーカーに紺色のコートを羽織っただけの、この格好が…好き?
…あ、もちろん下も履いているよ。
今日おろしたばかりの、グレージュのパンツ。
…全身シンプルにまとまってしまったこんな格好を、成海さんは気に入ってくれたというのか…?