片思い経由、恋愛行き
「…全然かっこよくないよ。
ていうかそんなこと言われたら、こっちだって恥ずかしいんだけど…」
成海さんの言葉で、俺の顔もどんどん紅くなる。
好きな女の子にかっこいいって言われて、嬉しい反面なんだか恥ずかしい。
「人に褒められるのって、照れるね」
そう言って成海さんがふふふと笑った。
その仕草一つ一つが、心の底から可愛いと思う。
…もうこれ以上口には出さないけど。
…ていうか何なんだ、この初々しいカップルのようなやりとりは…
あぁ…俺、こんな状態で今日1日もつのだろうか…?
こんなに可愛い子が隣にいる休日は、生まれて初めてと言っても過言ではない。
緊張でヘマをしないように気を付けなければ…!
そんなこんなしているうちに、バスが坂を下って近づいてきた。
今日乗るのは華咲海岸行きのバス。
いつもの朝のバスと反対方面へ行く線。
…ちなみに、彼女がいつも見つめる男が毎朝乗っているやつだったりする。
停留所に停まったバスに、彼女の後に続いて乗り込む。
一瞬目が合って微笑んでくれた運転手は、毎朝俺を運んでくれるあのおじさんだった。