片思い経由、恋愛行き


「…どうも。須賀郁也です」



成海さんのことを一瞬だけ見て目をそらし、郁也が小さく頭を下げた。



明らかに不服そうな表情。



確かに前に、成海さんのことをあまり好きなタイプじゃないとは言っていたけど…



でもだからって、女の子に向かってそんなあからさまな態度を取らなくても…



「な…成海柚音…です」



…ほら、案の定成海さん怯えちゃってるし…




「い…郁也って無愛想だけど、本当はいい奴なんだよ…!
ほら郁也、急に来たことは謝るけど、そんな怒るなよ…!」



俺、必死のフォロー。



なんだか成海さんに悪いことをしちゃったような罪悪感が、一気に押し寄せる。



…こんなんだったら会わせるんじゃなかったかな…?





「…とりあえずあそこの席へ行け」



まだ機嫌が直らない郁也に、一番奥の席へと案内された。



…指一本で。



「俺たち客なんだけどなー」



…なんてとても言える雰囲気ではなかったので、成海さんと一緒にしぶしぶ席に向かった。
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