片思い経由、恋愛行き
「…成海サンは?」
俺から視線をはずして、郁也がきいた。
「えっ…じゃあサラダセット…で」
「はい、サラダセットね」
俺の時とは違い、成海さんの注文は素直に伝票に書く。
さっきのように露骨に嫌な顔はしていない。
無表情で淡々と対応している。
「お子様ランチ1つ、サラダセット1つ。以上でよろしいですかー」
「え、よろしくないです!」
「よろしいですねー。ではお待ちくださーい」
「ちょっ…!」
俺の言葉を聞くことなく、郁也はさっさとこの場から去っていってしまった。
キッチンの手前で一瞬だけこちらに振り返った郁也は、勝ち誇った表情。
…ちょっと……俺、本当にお子様ランチ…?