片思い経由、恋愛行き


「ふふふっ」



目の前から声が聞こえた。



「な…成海さん…?」



この店に来て初めての笑顔。



「2人のやりとり、面白いね。いつもあんな感じ?」


「…うん。俺、なぜかあいつには歯が立たなくて…」


「ふふっ、そんな感じだったね」



俺たちの会話について、楽しそうに笑う成海さん。



……そんなに面白かっただろうか…



俺、結構必死だったんだけどな…


お子様ランチなんてそんな辱め、あいつなら本気でやりそうだし…




「本当に仲いいんだね」



なんて言って微笑む彼女を見ると、笑わないで、なんて言えなくなる。



「…まぁ、昔からの家族ぐるみだしね」


「そうなんだ、いいなぁ」



……まぁいっか。



笑ってもらえるならそれでいいや。
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