天使がくれたもの(全編公開にします)
「電話…出れへんかったやん。……かけてもこんかった」


…混乱する思考。

震える唇に力を込めて、舞は…やっとのことで口を開いた。


「まぁ、聞けって。…俺な“待っててって言える立場ちゃうな”思ったから、何も言わんかったんやし。…付き合ってるわけちゃうやんかぁ。俺は、借金のために働かなあかんやん。女なんか、いらんって思ってたし。何度も電話出ようとしたし…かけたいと思ったけど、声聞いたら…その考えなくして、おまえの気持ちにこたえようとしてしまうの…自分でもわかってたから。どうしたらええかわからんくて…無視してた。…すまん」


まさかの言葉に、舞の頭は真っ白になっていく。

…懐かしい姿に、懐かしい声。


「でも俺な、考えた結果…帰っていちばんにここに来たんやし。…おまえに会いたいって思ったから。白浜おるときでも。…ずっと考えとった」


あのときと同じ駐車場で…言いかけて終わらせた言葉を、今…彼は口にしようとしている。

5センチの距離でとめた意味と…連絡がとれなかった理由を耳にし、舞は言葉を失う。
< 172 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop