天使がくれたもの(全編公開にします)
「あ、そや。伸哉がさ“岸田のこと、最近考えたりしてしまう”とか言うとったで!」

「マジで? うわぁ…ちょっといい感じになってきたなぁ」


…そうや、この人は大切にしてくれてる。

もう選んでしまったんやから、戻すことなんかでけへん。

…あたしは、この人を見なあかん。

優しくほほ笑みかける彼の笑顔を前に、平静を装い自分に言い聞かせる。

でも舞は、勇心とつないだ手に違和感を感じていた。

自分を大切にしてくれている彼の隣で、心は別の場所にいる。

何度…自分を説得しても、後悔が大きい。

…また勇心は、そんな舞に普通に接しながらも…異変に気づいていた。

無理に明るく接する舞、気づかないように…彼女に合わせる勇心。

互いの心の中で、不安とあせりが生まれていた。
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