天使がくれたもの(全編公開にします)
「…ええよ。言いたいことはわかってる」


クシャッとくずした笑顔。


「…え?」


オドオドとした舞の顔を見て、無理に笑顔をたもつ彼。


「だから、岸和田のヤツが好きなんやろ? 別れようや。ほかの男のこと考えてる女と…付き合ってても…しゃあないやん」


なかなか切り出せずにいる彼女を思いやり、勇心はわざと自分から別れを切り出した。


「…振り回したりして、ごめん」


涙でにじんでいく瞳。


「…泣くなって! ずっと泣いてばっかやん。…俺のことにまで、泣かんでええから」


そう笑いかけて、彼は手のひらで舞の目をふさいだ。


「…ごめんっ」


おおった彼のてのひらが…濡れていく。
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