天使がくれたもの(全編公開にします)
「ん? どしたん?」

「…あっ…強くないです」


思わず見とれてしまったことに舞は赤面する。


「おいおい、ソッコー口説きかよ」


彼に冷やかしの声が上がる。


「なんでやねんなっ」


…声まで似てる。

舞はカグに雰囲気がソックリの彼から目が離せなかった。



「快くん狙い?」


トイレで化粧直しをしながら、鏡越しで舞を見つめる雪奈。


「まっ、まさか…」

「でも、ずっと快くんのこと見てたやろ?」


あせりだす舞をニヤニヤと笑いながら、雪奈はカバンの中にポーチを戻した。


「カグに…似てるなぁって思って」


舞は真顔で言う。


「えー? 似てるかなぁ? 髪型? んー…なんとなくちゃう?」


頭の中で、快とカグを比べる雪奈。


「似てるって、マジで! 声もしぐさも!」


身を乗り出す舞の勢いに、雪奈はニヤッと笑みを浮かべた。


「そういえば、前…カグのこと好きやったもんなぁ」


その言葉で、舞は一瞬暗い表情を浮かべる。
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