天使がくれたもの(全編公開にします)
別人なのはわかってる。

でも、似ている彼を目で追ってしまう。


「よかったら番号教えてや」


周りの目を盗んで、そっと耳打ちする快。

舞は戸惑いながらも、彼の携帯に自分の番号を打っていく。

盛り上がる居酒屋の一室で、舞はカグに似た彼にひかれ始めていた。



――翌日。


「で、番号教えたと?」


ハンバンガーを手にあきれた様子の美衣子。

駅前のファ駅前のファーストフード店の中で、舞は快のことを話した。


「…はい」


後ろめたそうにうなずく舞。


「でもな、ほんまに似てるねんて! 美衣子も見たら絶対びっくりするで! 声も…」

「似てても別人」


嬉しそうに勢いよく説明し始めた舞に、美衣子は冷静な返答。


「…でも」

「あんたのカグへの気持ちはその程度やったん? …ましてや、その快って人にも失礼じゃない? その人を見てるふりしてカグを見てるんやんか」


美衣子は冷たい表情で言い放つ。


「…その程度っていうか、もう忘れたいし」


落ち込む舞。
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