天使がくれたもの(全編公開にします)
明るく話しかけられ、胸の鼓動は速くなる。


『あ、風呂上がりなん? じゃあ湯冷めするわな』

「…え?」

『いや、近くまで来たから…』


舞は電話を切ると、急いでパジャマから洋服に着替え、家を出た。

美衣子の忠告など今の舞の頭にはなかった。

彼に似た快に惹かれ、濡れた髪をなびかせ走り出していた。


コンビニの駐車場につくと、舞はキョロキョロと周りを見渡した。

白く大きめの車。窓から手を振る快の姿。


「寒くない? ごめんやで」


車のドアを開けて助手席に座る舞に、彼はすまなさそうに気遣う。


「ううん。ごめんなぁ、髪濡れてて」


以前の居酒屋のときと雰囲気が違う。静かな車内にゆっくり流れる音楽。

変に緊張感が漂う。
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