天使がくれたもの(全編公開にします)
「まぁ、用事で近くまで来たってのは口実なんやけどな」
照れくさそうな快の言葉に驚き、舞は赤面する。
「舞ちゃんって好きな子おったりするんけ?」
少し間をおいてから、快はそう問いかけてきた。
頭の中に、一瞬、カグの姿が浮かぶ。
目に映るのは、彼によく似た快の真剣な表情。
「……おらへん」
舞は快によく思われたいがため、カグのことを言わなかった。
「ホンマに? マジで? 彼氏とかおらんの?」
顔や髪形。声とかしぐさは似ているけれど、やっぱり違う感じもする。
舞はずっと、カグと重ねて快を見続けている。
「うん、おらん」
笑顔でうなずく。
すると、快もにっこり微笑み、そのまま顔を近づけてくる。
……あ。
一瞬の出来事だった。
本当に一瞬のことで、舞の頭の中は真っ白になる。