天使がくれたもの(全編公開にします)
「ごめん、嫌やった?」


突然のキス。

軽く奪われた唇。


舞は両手で唇をふさいだ。


「嫌っていうか……」


赤面したまま小さな声で答えると、すかさず快は言う。


「嫌とかじゃないんやったら付き合ってや」


3つ年上のせいか、彼は慣れた様子。


「てか、会うたばっかやん」

「会うたばっかやとキスしたらあかんの?」


恥ずかしげもなくその二文字を口にする彼。

舞は戸惑いを隠せない。


「え……っと」


黙り込むと、快はそんな姿をおかしく思うのか小さく笑う。


「ま、考えといてや」


彼は舞の頭をぽんぽんと軽くたたいた。

そのしぐさもまたカグを思い出すものだった。


……カグもよく頭をこうやって撫でてきた。


舞は複雑な気持ちで快を見る。


……似てる。


カグに見えて仕方がなかった。


鼓動が高鳴る。

舞はその横顔をじっと見つめていた。



< 229 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop