天使がくれたもの(全編公開にします)
「カグくんのことは、なんとも思ってないの?」


舞の視線を目で追って、実は再びたずねてくる。


「うるさいなぁ。…もう好きちゃうよ」


しつこく疑ってくる彼にイライラし、舞ははっきりと言った。

言ってすぐにハッとして、口を両手で覆う。


「もう、ねぇ」


案の定、実はニヤニヤと舞に微笑みかけてくる。

舞は諦めて、ため息をついた。


「まぁ、昔はな」

「カグくんも好きやと思ったんやけどなぁ。あんまりそういうの出さへん人やしなぁ」


ジュースを手に取る実を、舞はじっと見つめた。
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