天使がくれたもの(全編公開にします)
「みぃくんってそういう人の好きな人とか探るの趣味?」


呆れた顔で、嫌味っぽく言ってみると。


「俺? いやぁ、そんなことはないけど。でも、カグくんやから気になるんやし」


実はにっこり微笑んだ。


「カグやから?」


意味がわからず首をかしげる。


「うん。俺なぁ、憧れてんねん。めっちゃカッコイイやん、自分持ってて。俺1個下やのに、よくここに来るやん? 同期のやつらと色々モメててな。しばかれてたとき助けてくれたんがカグくんやってん」


確かに、前から疑問に思ってはいた。

同い年ばかりが集まるたまり場に、年下の実だけが混ざっていることを。


舞はやっと理解した。

髪型も口癖も仕事も何もかも、カグのマネをしている実のことを。


「俺もなぁ、カグくんみたいになりたいんやしっ」



満面の笑み。

舞は静かに、実の笑顔を見つめた。


「みぃくんもみぃくんでいいと思うけどなぁ。マネばかりしててもカグにはなれやんし。みぃくんの良さが隠れてしまうやん。……どんだけ似せても、カグとみぃくんは別人やんか。もっと自分に自信持ちなぁよ!」


実の背中をポンっとたたく。

彼は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、間をおいてから、笑顔になる。
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