天使がくれたもの(全編公開にします)
彼は携帯の電源を切り、気まずそうに謝った。


「・・・ちょっとタバコとジュース買ってくるわ」


低い声で苦笑い、彼はその場から去っていった。

彼の姿を静かに見送っていると、周りにいた男の子たちの声が耳に入ってくる。


「・・・カグんち、まだ荒れてん?」

「わからんけど、アイツ・・・今だいぶつらいやろなぁ」


その言葉を耳にして、舞は心配になり自販機まで走りだした。

・・・自販機のそばにある長椅子に、カグの背中を見つけた舞は、静かに近寄った。

足音に気がつき・・・振り返る彼の表情に、舞は驚いた。

目の前にいる彼は、瞳を真っ赤にして・・・涙を流していた。
< 53 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop