天使がくれたもの(全編公開にします)

「じゃあさ･･･7月のあたまにな、あの花火の日な･･･。あのおっさん･･･自殺しよった」


思いがけない出来事を耳にし、舞は両手で口をおおった。

･･･あの涙の理由。

ハンドルを握ったまま･･･小刻みに震えるカグに、声がかけられない。


「だからな･･･金がいるねん」


声をかけたいが･･･なんて言えばいいのか、言葉が見つからない。

今にも張り裂けるかのような胸の痛みが、大粒の涙に変わっていく。

舞は、いつもとまったく違う小さな背中を包み込むように、そっと後ろから抱きしめた。

こらえてた彼の瞳から、涙が一気にあふれだす。