ラブ&DEATH
「ん…」
高く真っ青な空に真っ白な雲が浮かんでいるのが見えた。あれ?あたし落ちたんじゃないの!?痛みもなければ横たわるあたしを覗き込む見慣れたさっきの顔が迷惑そうに見つめていた。
「気づいた?」
「落ちれば良かったね?そうすれば死ねたのに」
見た目怖そうな彼は気遣い、逆に可愛い顔した彼はいけしゃあしゃあと残酷な事をあっさりと言った。身体を起き上がらせようとすると手を差し伸べてくれた。
「さすがは天使♪優しいね~」
………天使?
強面の彼に嫌味を含むようにニヤリと笑った。誰が天使?なに言ってんの?この人達…
「さすがは地獄の番人…つめてぇなぁ…そのドSで何人を血の池地獄に沈めて来たんだろうな~?」
「まぁ、おおよそ2500人は越えてるんじゃない?」
話が全然、見えない。地獄の番人?天使?現実の話をしてるにしても話が飛躍し過ぎて口がポカーンと開いたまま塞がらない。聞いていい話なわけ?そもそもマジな話をしてるのこの人達。
「あ、聞かれてるよ?」
「お前が言い出したんだろ」
それでも身動き取れずに固まるあたしの顔にヒラヒラと手を振ってみる。
どこから突っ込みを入れてどのタイミングで逃げ出せばいいんだろ?
そんな事ばかり考えていた。
「………そろそろ帰ります」
ゆっくり後退りしながら、二人から距離を取る。このまま、ここにいたら絶対に変な事に巻き込まれてしまう予感ビンビンだった。