シークレットな極上LOVE
予想外の裏切り
「あたし、忙しいんですけど!」
毎日、仕事に追われているというのに、亜子さんが仕事終わりに呼び出してきた。
「ごめんね、由依奈。ほら、龍も謝りなさいよ」
黙ったまま顔を横に向けた龍之介さんの頭を、亜子さんは思い切り叩いた。
ここは、都内でも有名な高級フランス料理店。
もちろん、あたしは今まで入った事などはない。
どうやら、彰斗や亜子さんの行きつけらしく、ここに誘われたのだった。
どこからどこまでも、贅沢な人達だわ。
あたしのこれまでの行きつけなんて、安いで有名な居酒屋かラーメン屋くらいよ。
「私たちね、思い切り彰斗に叱られたんだ」
亜子さんは珍しく小さくなっている。
「余計な事を喋っちゃったから、ケンカになったんでしょ?」
申し訳なさそうな亜子さんとは対照的に、龍之介さんはふてぶてしく言った。
「ケンカの原因は、風香だろ?」