シークレットな極上LOVE
「会社の株価も上がってるのよ。ご祝儀買いってやつね?」
美加にそう言われて、ますます恥ずかしい。
“現代版シンデレラ”と書かれてしまって、大変なんだから。
あたしは会社で私物を整理しながら、開かれていた経済誌を閉じた。
もう見たくもないわ。
「柏木さん、本当に行っちゃうなんて寂しいわね」
お局様が、あたしのデスクへやって来て声をかけてくれた。
「課長…。本当にお世話になりました。そして、ありがとうございました」
結婚を控え、あたしは会社を退職する。
今から、猛ダッシュでフランス語と英語を勉強しなくてはいけないのだ。
考えるだけで、頭が痛いけどね。
「社長もいなくなっちゃうし、寂しいですよね課長」
美加もすっかり気落ちしている。