シークレットな極上LOVE
「はい、柏木さんはこれを二課に持って行ってね」
両手いっぱいの資料を、お局さま…じゃない、坪根さんに渡された。
「お、重い…」
顔半分くらい隠れる量なんですけど。
「これは、大事な資料だから、絶対に部長に手渡ししてね」
「はい」
だったら、自分が持って行けばいいじゃない。
なんて、今日入ったばかりの新人じゃ、心で思うくらいしか出来ない。
美加の気の毒そうにしてる顔に、あたしは少ししかめっ面を返して、エレベーターに向かった。
二課は30階か。
矢印上向きのボタンを押して、待つこと30秒。
ドアが開きかけた瞬間、あたしはマックスに緊張した。
だって、
香ってくるんだもん。
あの柑橘系の香りが…。