ねぇ、まこと。
その5分が、半年間…あたしを苦しめることになるのを、まことは全然わかっていない。
あたしは強く唇をかんで、忙しいフリをする。寂しさを口にするまことに背を向けて。
その気持ちを忘れられたくなかったねん。…満足なんかされたくなかった。
「いってらっしゃい」
スネるまことを、あたしは笑顔で見送った。
…胸が苦しかったよ。
“早く帰ってきて”と、願いを込めた夜。
まことの寂しさで育てた蜜を、「ただいま」という言葉と一緒に味わいたいから。