桜雪
細い腕を上げ、少し離れたところにある丘を指差した。
つられて私もその丘の方へ視線を移す。
そこだけ霞がかったような感じだ。
「毒を呷って死のう、と二人で決めました。でも…私は土壇場になって、死ぬのが怖くなってしまったんです。子供のことが心配になってしまったんです。だから、同時に毒を飲もう、と言って頷きはしたものの、私は毒を飲まなかった」
つられて私もその丘の方へ視線を移す。
そこだけ霞がかったような感じだ。
「毒を呷って死のう、と二人で決めました。でも…私は土壇場になって、死ぬのが怖くなってしまったんです。子供のことが心配になってしまったんです。だから、同時に毒を飲もう、と言って頷きはしたものの、私は毒を飲まなかった」