桜雪
私は今日もいつもと変わらずこの道を歩いている。
 
桜の季節は終わってしまって少し空虚感を覚えるけれど、新しい若葉からも仄かに甘い香りが漂ってくる。 
 
桜の木が、まだ咲き足りないとでも言うように。
 
ふとどこからか、ひとひらの花びらが舞ってきた。
 
薄紅色の、これは桜の花びらではないだろうか。
しかし、今はもう花の季節は終わっている。
地面に落ちていた花びらが風に仰がれたのだろうか?
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