ふたり。-Triangle Love の果てに
日曜日の朝。
俺の格好を見た真琴が眉をひそめた。
「まさかその格好で行くんじゃないわよね」
「そのつもりだけど、何か変?」
「変ってもんじゃないわよ。ダメ、そんなのダメダメよ」
首を横に振りながら、真琴は腕を引っ張り俺の部屋にズカズカ入る。
「仕事にでも行くの?なんでワイシャツ?」
そう言って俺のチェストの中をひっかきまわす。
「デートにそんな格好でいくなんて信じられない」
「いや、デートじゃなくて…」
「この前だって泰兄の誘いを断ってまで千春さんに会ったんでしょ。今回も、ってなったらデート以外の何物でもないわよ」
早口でまくしたてながら、何枚か服をベッドの上に並べてゆく。
「これだ、って服を持ってないのよね、お兄ちゃんは」
「まぁ、必要ないしね」
「そうだ、今日千春さんと服を一緒に買ってきたらいいじゃない。美容関係の人だもん、センスばっちりよ」
「なんか、それってデートみたいじゃ…」
「だからデートでしょ!そんな言い方は千春さんに失礼よ。この間ジョアンに行ったんだけど、彼女、お兄ちゃんと一緒ですっごく楽しかったって言ってたわ」
千春ちゃんが話を合わせてくれたことには、感謝する。
だけど、変な方向に話が進んでいないだろうか。
真琴は、俺と千春ちゃんが付き合ってる、あるいは付き合う寸前だと勘違いしている節がある。
機嫌良く見送ってくれたはいいが、複雑な気分だった。