ふたり。-Triangle Love の果てに


海の見える小高い丘の上の教会。


俺とマコはなつみ園の庭をぶらぶらと歩いていた。


束ねた枯れ草があちらこちらに置いてある。


冬の冷たい海風に首をすくめながら、日だまりを求めて辺りを見渡した。


時折、張り上げた天宮の声が教会から漏れ聞こえてくる。


日曜礼拝。


そんなものがあるなんて、すっかり忘れていた。


まぁ、俺はことごとくそういうものをさぼっていたからな。


「おまえは礼拝に出なくても良かったのか。俺に気兼ねせずに行ってこいよ」


「いいの。それに途中から入ると、みんなの気も削がれちゃうでしょ」


「そういうものか?」


「そういうものよ」


くすっと笑うと、彼女は一本の大きな樫の木に歩み寄った。


そっと幹に触れると、俺を振り返ってまた笑う。


覚えてる?そう言いたげに。


ああ、覚えてる。


おまえが降りられなくなった木だ。


俺もその木の下まで行って、上を見上げた。


おびえた顔の幼いマコが目に浮かんで、にやけてしまう。


「あ、今バカにしたでしょ。あそこで泣いてた私を思い出して」


すかさずマコが突っ込む。


「確かに鈍くさかったな、あれは」


「もう」


頬を膨らませそっぽを向いたと思いきや、急にしんみりとこう訊いてきた。



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