ふたり。-Triangle Love の果てに
私はそのサフィニアの苗を胸に抱えると、Yesterdayの仕事に向かった。
帰ったら早速植えよう。
楽しみ。
いっぱい花が咲くといいな。
白と紫…ちょっと大人っぽい色。
私に、というよりは泰兄に似合いそうな色。
すごくステキな組み合わせ。
ウキウキしながら、私は夜の少し冷たい春風に目を細めた。
「ね、ね、どう?」
私はバルコニーからリビングにいる泰兄に声をかけた。
何もなかったところに、プランターに植え替えられた花の苗が太陽の光にキラキラしている。
「なんだ、それ」
「サフィニアよ。これからいっぱい花が咲くんだって。楽しみね」
「まぁな」
興味のなさそうな返事をすると、彼は新聞に視線を戻す。
男の人ってこういうことに無頓着というか、興味がないというか…気の利いた一言も言えないのかしら、と思う。
まぁ、いっか。
私は中に入ると、泰兄の横に座り寄り添った。
ある日、仕事に出ようとする私に「明日は朝早くから出かける。帰りも遅くなる」と彼は言った。
珍しく緊張したその表情に、少し不安になる。
何?危険なこと?
「また連絡する」
「うん、そうして。じゃあ、行ってくるね」
何も不安に思う必要なんてなかったのに。
だってこの後、とってもステキなことが起こったんだから。