ふたり。-Triangle Love の果てに
「……」
…私、最低。
急に自分がとてつもなく恥ずかしくなった。
どうしてこんなくだらないことを次々と言ってしまったのだろう。
勝平さんは泰兄を心底慕っているだけなのに。
彼の期待に応えたいと、一生懸命なだけなのに。
その思いを一瞬でも馬鹿にするようなことを言った自分が情けない。
彼が言う通り、泰兄はそんな人じゃない。
「つまらないことを言ってしまって、ごめんなさい」
「いいえ、イライラされるのはわかりますから。でももうすぐですよ、泰輔さんはやると言ったら必ずやり遂げる方です。必ず犯人を見つけ出しますから」
ね?と小首を傾げる彼を見て、一体歳はいくつなんだろうと思った。
「ありがとうございます。でも、あの…お願いがあるんです」
何でしょう、とまるでウェイターのように手を前でそろえる。
「後ろを歩かれると落ち着かないので、並んで歩いてもらえませんか」
「それはかまいませんが、泰輔さんに怒られないかな…」
「大丈夫です。だって本来なら彼が私を守ってくれなきゃいけないのに、全部あなたに任せっきりなんですから」
ははは、と頭をかきながら彼は「ではそうさせてもらいます」と笑った。
並んで土手を歩きながら、私は色々と彼を質問攻めにした。
「歳はいくつですか」
「28です」
「嘘っ、私よりも年上なんですか。てっきり同じくらいなのかと。でも若く見られていいですよね。私はどちらかと言えば上に見られがちですから」
「そうですかねぇ、男が童顔ってのは貫禄がでなくてナメられます。とくにこの世界では」
「付き合ってる人はいるんですか」
「ええ。もうすぐ結婚するんです。子どもが生まれるので」
「ええ!そうなんですか。おめでとうございます。でも私につきっきりで、彼女に申し訳ないですね」
「いやぁ、そんなことありません。俺もそいつも泰輔さんには世話になってますから。これくらいのこと何でもありませんよ」
幸せを滲ませながらそう答える彼を、うらやましく思った。