ふたり。-Triangle Love の果てに


「あ…」


何気なく向けた視線の先の光景に、私は走り寄った。


花が…


花がしおれてる…


葉も元気なくうつむいている。


「やだ、どうして…」


土を触ってみるも、ちゃんと湿っている。


当然だ、出かける前に水をあげたばかりなのだから。


じゃあ、水のやりすぎ?


そんなことはない、ケンちゃんに言われた通りにやってたもの。


日当たりも問題ないし…


…どうして?


プランターの前にしゃがみこみ、膝を抱えて顔を埋めた。


きっと今も彼は、厳しい顔つきでパソコン画面を睨んでいる。


ねぇ、泰兄。私たちの花がね、元気ないの。


あんなに大切に育ててたのに、どうしてかしら?


そう問いかけたかった。


なんでもいい、答えてほしかった。


でもきっと今の彼は、この花たちを見ても何も感じない。


寂しい…


ふたりでいるのに、こんなにも寂しいなんて…


私は溢れる涙を指でぬぐいながら、キッチンに入った。


その隅で声を殺して泣いた。


ねぇ、泰兄…


私はあなたの何なの?


どうして何も言ってくれないの。


どうして私に背を向けて眠るの?


あなたの背中に棲む龍がね、私を憐れむように見るのよ。


もうわからなくなっちゃった。


あなたを愛してるのに。


こんなにも愛してるのに、胸が痛い。


どこまで愛したら、安らかになれるの?


どれだけ愛したら、あなたはまたその無防備な寝顔を私に見せてくれるの?


ねぇ…


寂しいの…


泰兄…
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