ふたり。-Triangle Love の果てに
「まったくあなたという人は…」
俺はマリアの横に立ち、笑った。
「足が痛いんでしょう?慣れないハイヒールで」
「……」
きっと背伸びをしてこんな大人っぽい服装をしてきたのだと思った。
「ここからはバスに乗りましょう。鶴崎家には30分ほどで着きますよ」
「…どうして?」
「はい?」
「どうして後をついてくるのよ。あたしは面倒なやつじゃなかったの?」
うつむく彼女の声は震えていた。
「何でよ!?」
その問いに、俺は間髪入れずに答えた。
「あなたがルリ姐さんの大切な方だからです」
きょとん、としたマリア。
「俺にとってあなたのお姉さんは恩人です。その方が直々に俺にあなたを迎えにいってくれないか、とおっしゃったんです。恩には報いる、これが俺たちの鉄則です」
「なーんだ、ただの義理立てじゃない」
「そうですね」
違います、とでも俺が言うと思っていたのだろう、いきなり突き放すような俺の言い方にマリアは再びキョトンとした。
「とにかく俺が責任を持ってあなたを鶴崎家までお送りします」
「……」
「いいですね」
「勝手にすれば。変なやつ」
そう言って彼女はくすっと笑うと、ハンドバッグを胸に引き寄せた。
「ねぇ、あなた、相原…何ていうの?下の名前」