ふたり。-Triangle Love の果てに
「本当かしら…昨日あなたは…」
だめ、胸が苦しい…
「あなたは本通りで、私の知らない女の人と…」
彼の手が止まった。
「見ちゃったの」
涙は止まらない。
ぬぐってもぬぐっても溢れ出てきて、目の前の彼の姿でさえ曇ってしまう。
「ねぇ、何か言って…」
お願い、あの人とは何もなかったと言って。
だけど、泰兄は伏し目がちに首を振ると、「すまない」とだけ言った。
すまないって何?
なんで謝るの…!
ということは、やっぱり…
私は彼の前に立つと、思いっきりその頬を引っぱたいた。
「ひどいわ!」
「何をする!」
その手首をつかみ、彼はつりあがった目で私をにらみつけた。
「最低よ」
「何だと?」
「あなたみたいな人、最低って言ったのよ。聞こえなかった!?」
泰兄はつかんだ私の手首を強引に引き寄せると、顔を近付けて言った。
「男にはやらなければならないことがある。たとえそれが俺の意に反することであっても、おまえを傷付けることであってもだ」
「だからあの人と関係を持っても仕方ないと…?」
彼は答えなかった。
でもそれが全てを肯定しているようだった。
「そんな…」
「俺を最低だと思うのなら出て行けばいい。止めはしない」
そんな冷たい声が降ってきたかと思うと、彼は激しくドアを閉めて部屋を出て行った。
泰兄…
泰兄…
胸が痛い…
心が壊れてゆく…
どうして?
私はあなたを愛したからここにいるのに。
あなたと共に生きたいと願ったから、そばにいるのに。
どうしてこんなひどい仕打ちをするの?
泰兄…