ふたり。-Triangle Love の果てに
~片桐真琴~


泰兄が、背を向けた私の肩を抱いたまま眠りについた。


彼が完全に寝入ってしまってから、やっと私は向き直る。


久々に間近で見る彼の無防備な寝顔。


ヒゲも少し伸びてる。


昨日の朝出て行ったきり、どこで何をしていたの?


連絡もなくて、心配してたのよ。


そっと頬に触れるとチクチクする。


ねぇ、泰兄。


あなたが私のことを心配してくれる気持ちはよくわかってるわ。


感謝しているし、とても嬉しい。


でもね、そのために勝平さんをはじめ、他の人の大切な時間を奪うことはしたくないの。


ねぇ、私のことが重荷?


もしあなたの邪魔になるようだったら、遠慮なく言って。


平気よ、私、意外と強いんだから。


少し泣いただけで、すぐに切り替えができちゃうの。


むしろね、わたしのために悩むあなたを見てるほうが辛いのよ。


泰兄…


どんなにあなたと意見が食い違っても


言い争っても


一緒にいられなくなっても…


私はあなたを愛してるから。


愛し続けるから。


だから正直な気持ちを話して。


ね、泰兄。


あなたはあなたのままでいて。


悩ましげなあなたは、らしくないわ。
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