ふたり。-Triangle Love の果てに
第6章―Revenge of the Love
~片桐真琴~
ある日突然泰兄が言った。
「直人さんへの報告の前に、知らせておきたい人間がいる」と。
何となくわかっていたが、あえて「それは誰?」と訊いた。
「勇作だ」
やっぱり…
でも…
視線をそらし、バルコニーを見遣る。
そこには元気のなかったサフィニアがたくさんの花をつけ、太陽の光の中で輝いていた。
そんな私に彼は続けた。
「おまえにとってはたったひとりの家族だろ。あいつに黙ったまま籍を入れるのは、筋が通らない」
そうだけど、私たち兄妹は…
「血の繋がりなんて関係ない、おまえを今まで必死に守ってくれたんだろ」
「…やっぱり知ってたのね、私たちが本当の兄妹じゃないってこと。いつからなの?」
「施設にいた頃に、勇作から聞いた」
「そう。ずいぶん前からなのね。私なんてつい最近よ、それを知ったのは」
「話しに行くべきだ、勇作に」
彼の言うことはもっともだし、間違ってはいない。
だけど、平然とお兄ちゃんに向かって「私たち、結婚します」なんて報告できない。
お兄ちゃんは須賀一家や圭条会を心底憎んでる。
私が泰兄と結婚するなんて、絶対に許してくれない。
「できるだけ早いほうがいい」と泰兄。
「でもお兄ちゃんはあなたが圭条会の人間だということを知ってるわ。報告したところで、一体何を言われるか…」
「俺はかまわない。罵られようが殴られようが、一向にかまわない。それとも何か他に勇作に会いたくない事情でもあるのか」
ある、大いにある。
お兄ちゃんが言った、あの時の言葉。
『おまえを女として愛している』
私だっておにいちゃんは好き。
でもそれはあくまで「お兄ちゃん」だから…
視点の定まらない私に、泰兄は言った。
「気になっていたんだが、俺の入院中におまえたちはケンカ別れをしただろ。原因はなんだ、勇作か?」
「それは…私が組織の人間のあなたと、よりを戻したからよ」
「マコ」
両肩を強く掴まれた。
「俺たちはもうすぐ家族になるんだ。隠し事はするな」
「泰兄…」
「どんな話であっても俺は受け入れる」
「……」
「約束する」
彼の手でゆっくりソファーに導かれると、私は腰を下ろし背筋を伸ばした。
そして言葉を選びながら、あの日お兄ちゃんと私の間に起こった全てを彼に打ち明けた。
愛してる、そう言われてキスをされたことも包み隠さず。
「ごめんなさい、黙ってて」
そう言うと、一気に涙が次から次へと溢れ出した。
ある日突然泰兄が言った。
「直人さんへの報告の前に、知らせておきたい人間がいる」と。
何となくわかっていたが、あえて「それは誰?」と訊いた。
「勇作だ」
やっぱり…
でも…
視線をそらし、バルコニーを見遣る。
そこには元気のなかったサフィニアがたくさんの花をつけ、太陽の光の中で輝いていた。
そんな私に彼は続けた。
「おまえにとってはたったひとりの家族だろ。あいつに黙ったまま籍を入れるのは、筋が通らない」
そうだけど、私たち兄妹は…
「血の繋がりなんて関係ない、おまえを今まで必死に守ってくれたんだろ」
「…やっぱり知ってたのね、私たちが本当の兄妹じゃないってこと。いつからなの?」
「施設にいた頃に、勇作から聞いた」
「そう。ずいぶん前からなのね。私なんてつい最近よ、それを知ったのは」
「話しに行くべきだ、勇作に」
彼の言うことはもっともだし、間違ってはいない。
だけど、平然とお兄ちゃんに向かって「私たち、結婚します」なんて報告できない。
お兄ちゃんは須賀一家や圭条会を心底憎んでる。
私が泰兄と結婚するなんて、絶対に許してくれない。
「できるだけ早いほうがいい」と泰兄。
「でもお兄ちゃんはあなたが圭条会の人間だということを知ってるわ。報告したところで、一体何を言われるか…」
「俺はかまわない。罵られようが殴られようが、一向にかまわない。それとも何か他に勇作に会いたくない事情でもあるのか」
ある、大いにある。
お兄ちゃんが言った、あの時の言葉。
『おまえを女として愛している』
私だっておにいちゃんは好き。
でもそれはあくまで「お兄ちゃん」だから…
視点の定まらない私に、泰兄は言った。
「気になっていたんだが、俺の入院中におまえたちはケンカ別れをしただろ。原因はなんだ、勇作か?」
「それは…私が組織の人間のあなたと、よりを戻したからよ」
「マコ」
両肩を強く掴まれた。
「俺たちはもうすぐ家族になるんだ。隠し事はするな」
「泰兄…」
「どんな話であっても俺は受け入れる」
「……」
「約束する」
彼の手でゆっくりソファーに導かれると、私は腰を下ろし背筋を伸ばした。
そして言葉を選びながら、あの日お兄ちゃんと私の間に起こった全てを彼に打ち明けた。
愛してる、そう言われてキスをされたことも包み隠さず。
「ごめんなさい、黙ってて」
そう言うと、一気に涙が次から次へと溢れ出した。