ふたり。-Triangle Love の果てに
どうか神さま。
これが夢ではありませんように。
このぬくもりが
この鼓動が
私の前からもう二度と消えませんように…
「随分、待たせたな」
ああ、この声を何度聞きたいと思ったことか。
恨み言のひとつでも言ってやるんだって思っていたのに、出てくる言葉は「ううん」、それだけ。
「つらい思いをさせたな」
「…ううん」
「悪かった」
「ううん!」
「マコ、顔を見せてくれ」
見上げると、以前よりもずっと痩せていたけれど、ずっと穏やかな顔の相原泰輔がそこにはいた。
次第に曇る私の視界。
瞬くと、まるで玉のように涙がこぼれ落ちた。
そっとそれを指で受け止める泰兄。
「…もうどこにも行かないで」
やっと出た言葉らしい言葉。
「ああ、これからはおまえのそばにいる。一生涯、離れはしない」
笑わなきゃ。
泣いちゃだめ。
美月にはニコニコ顔でいなさいって言ったのに、私がこんなんじゃダメよね。
だけど今までの想いが溢れだしてきて、涙が止まらないの。
止まらない…の…。
泣きじゃくる私に少し呆れた笑みを浮かべた彼は、額同士を寄せてきた。
今も変わらぬ、少し翳りのある瞳。
その目が私をとらえて離さない。
「これからおまえが流す涙は、すべて俺がぬぐう」
泰兄…
「…ふふっ。じゃあ、隠れて泣こうかしら」
泣き笑いの私。
「どこにいたって必ず見つけて、ぬぐってやる」