ふたり。-Triangle Love の果てに
私たちの両親は、殺された。
それぞれ胸とこめかみを撃ち抜かれて。
犯人はすぐに自首してきた。
それが須賀一家という、指定暴力団組織の組員。
そいつの放った一言が今も忘れられない。
「部屋を間違えた」
お父さんの部屋の隣に指定暴力団の「圭条会」の大物幹部が入院中だった。
両者の抗争が激化していた当時、彼を狙って須賀一家が襲撃にきたのだ。
なぜ?
なぜ、お父さんとお母さんは殺されなければならなかったの?
幾度となく繰り返されるこの問い。
当初、お兄ちゃんは幼い私にはあえて事実をふせていた。
けれど、嫌でも耳に入ってくる親戚の会話、私たちを見る憐憫の目。
成長するにつれ、それがいかに理不尽で許し難いものであるか。
私は犯人だけでなく、須賀一家と圭条会、すべてのそのような組織に人一倍憎しみを抱くようになった。
私たち親子が一体何をしたというの!
何もしてないじゃない!
彼らを絶対に許さない…!
絶対に。