ふたり。-Triangle Love の果てに


私たちの両親は、殺された。


それぞれ胸とこめかみを撃ち抜かれて。


犯人はすぐに自首してきた。


それが須賀一家という、指定暴力団組織の組員。


そいつの放った一言が今も忘れられない。



「部屋を間違えた」



お父さんの部屋の隣に指定暴力団の「圭条会」の大物幹部が入院中だった。


両者の抗争が激化していた当時、彼を狙って須賀一家が襲撃にきたのだ。


なぜ?


なぜ、お父さんとお母さんは殺されなければならなかったの?


幾度となく繰り返されるこの問い。


当初、お兄ちゃんは幼い私にはあえて事実をふせていた。


けれど、嫌でも耳に入ってくる親戚の会話、私たちを見る憐憫の目。


成長するにつれ、それがいかに理不尽で許し難いものであるか。


私は犯人だけでなく、須賀一家と圭条会、すべてのそのような組織に人一倍憎しみを抱くようになった。


私たち親子が一体何をしたというの!


何もしてないじゃない!



彼らを絶対に許さない…!


絶対に。
< 65 / 411 >

この作品をシェア

pagetop