ふたり。-Triangle Love の果てに
訊くんじゃなかったかな、こんなこと…
もしかしたら、ううん、きっとゆり子さんの恋は私が想像していた幸せいっぱいのものじゃないのかもしれない。
つらくて、切なくて。
それこそ毎晩泣くほどに寂しい恋なのかもしれない。
「で、真琴ちゃんは?どんな恋をしてるの?」
さっきの寂しげな顔が嘘のように、ゆり子さんは興味津々といったように身を乗り出した。
「私は…」
どうなんだろう。
考えてみれば泰兄のこと、何も知らない。
高級クラブAGEHAのオーナーってことくらいしか…
どこに住んでるとか、休日はどうやって過ごすとか何も知らないのに、彼に会う度に惹かれてゆく。
カウンターを隔てた、単なる客とバーテンダー。
きっと彼はそう思ってる。
だから傷付きたくなくて、期待しちゃいけないと思って、私も努力して気持ちを抑えてきたのに。
でもやっぱり彼が好き。
「私は…よくわかりません。恋ってよくわかりません」
だって好きだから好きって言えるほど、そんな単純なものじゃないんだもの。
恋って思ってた以上に、やっかい…
口をつぐんだ私に「まだまだこれからが楽しみね」なんてゆり子さんは笑った。