キャンディよりも甘く~わんこ彼氏とホワイトデー~

「あんまり冷たくしてると松田くん取られちゃうんじゃない?」

『取られる?何それ…あ、またお母さん焦がしてるし』



いつも、何かしら焦がしたり、味付け間違えたりするんだよねー。



「ちょっと!美耶聞いてる!?」

『聞いてる聞いてる』



焦げてる分を避けつつ、卵焼きを食べながら言う。



「ちょっと!呑気に食べてる場合じゃないから!松田くんが他の女に取られても良いの?」

『へっ?』



予想外の澪の言葉に思わずまぬけな声が出る。



「へっ?じゃなくて!松田くんって結構人気あるの分かってる?」

『壱が?』



あんな、ウザい位に朝から元気で授業中にいきなり脱走する奴が…?



「あ~、さっきも女子の声凄かったよね~。「可愛い~!」とか言われてたし。あたしには全然分かんないけど!」



メイクに一生懸命で聞いてないのかと思いきや、実は聞いてたらしい実紅が言う。

鏡の前から顔はそらさないけどね。

っていうか、あのキャーキャー言ってた女子の声ってそういう事だったの…?



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