キャンディよりも甘く~わんこ彼氏とホワイトデー~
「ま、いつも意地ばっかはってないでたまには素直になったら?」
『別に意地張ってる訳じゃ…』
素直じゃないのは否定出来ないけど…。
元々、壱の押しに負けて付き合うようになった感じで、最初はそんな感情も無く始まったから、それが普通になっちゃったっていうか…。
そのうち諦めるだろう位に思ってたのに…なんだろ、モヤモヤする……。
―――ガラッ!!
「美耶!!」
『えっ…!』
覚えた事の無い感情の理由を考えてた所に、勢いよくドアを開けて入って来た壱に驚く。
「あー!もう!わんこのせいでラインがぶれたじゃん!!」
アイライナーと鏡を持ってる実紅が怒鳴る。
「美耶、ちょっと来て!!」
『え、何処に?』
実紅の言葉なんて完全無視で、あたしの所に来ると、腕を引っ張って立たされた。
「行こっ!!」
『ちょっと…!』
まだジャージ姿の壱にぐいぐい腕を引っ張られて連れてかれる。
焦るあたしとは違って、未だにぶつぶつ言ってる実紅と手を振って「いってらっしゃーい」とか言ってる澪。
あと…今まで全然気にしてなかったのに、やたらと壱に女子の視線が向かってる気がして、またモヤモヤした――。