キャンディよりも甘く~わんこ彼氏とホワイトデー~

「俺、今日がホワイトデーって事忘れてて…朝ミクロに言われるまで気付かなかったんだ。だから美耶にお返し買ってなくて」


シュンっと犬だったら耳が垂れて項垂れてるであろう様子で言う壱に拍子抜け。


『何かと思えば…そんな事。別に良いわよお返しなんて』



大したものあげてないし。

むしろ思い出したく無い…。



「良くないよ!だって美耶はバレンタインにくれのに!!」



勢いよく顔を上げた壱にあたしはちょっと後ずさる。



『あ、あげたって言っても…あれ、不味かったでしょ?』



1ヶ月前のバレンタイン前日。

澪に誘われて実紅も一緒にチョコレートブラウニーを作ったんだけど、何故かあたしのだけ真っ黒。


何回か作り直してみたけど、ちょっと焦げ具合がマシになっただけで、形も微妙…。



別に買ったのあげても良いし、元々、手作りなんてする予定じゃなかったから、あげるのやめようとおもったんだけど……



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