キャンディよりも甘く~わんこ彼氏とホワイトデー~
「だから、急いで買いに行かなきゃと思って。チャンスは体育の時くらいしか無いし…」
『え…』
まさか…。
授業中脱走しようとしたのって…
「だから、隙を見て抜け出そうとしたのに、見つかっちゃうし。しかも説教されるしで買いにいけなくてごめん…」
『いや…』
しゅんっとますます申し訳無さそうに項垂れる壱に何も言えない。
授業中抜け出すなんて意味分かんないって思ってたのに…いや、決して良い事では無いんだけど…
まさかあたしへのお返しのために怒られる危険を犯してまで抜け出そうとしたなんて思わなかった。
色々、壱の突拍子も無いっていうか、よく分かんない行動には慣れたつもりでいたけど、今回の事にはびっくり…。
「でね、結局お返しすぐには買えなかったからとりあえずこれ!!」
パッとあたしの目の前に何かが差し出される。