キャンディよりも甘く~わんこ彼氏とホワイトデー~

「逃げるんじゃねぇ!松田ー!!」

「ムリ――!!」



…そんなわけあったみたい。


「え~、何あれ~!」

「何かあったのかな?」



騒ぎに気付いた周りの女子達も何事か気になってるみたい。


『あり得ない…』



授業中に脱走する意味が分からない…。


すばしっこく逃げるワンコと追いかける熊。


まるで自然界の食物連鎖の仕組みを見てるよう。



「あははっ!松田逃げろ~」

「なんか喰われそうな勢いじゃね?」



騒ぎたてる男子達とキャーキャー言い始めた女子。



「こらー!止まるな!!」



もう授業なんて何処へやら、これはあのワンコをどうにかしなきゃダメだと気付いたのか、女子担当教師まで参戦。



結局、2人に挟み撃ちにされて捕獲された壱は首根っこを掴まれて熊に連行された。



その光景はは本当に獲物を掴まえた熊と、これから餌にされるわんこのよう。


だけど、あたしは全然同情する気とか起こらなくて、ただただ呆れるばかりだった。



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