妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
「あの幼いお姫さんがねぇ。ははっ、でもあのお姫さんなら、後宮でも上手くやっていくだろうよ」
けけけっと笑うそはや丸に、女官は微妙な顔をする。
普段、このように官位もないような男と語らうことなどないのだろう。
そもそも、左大臣家の女官にこのような物言いをする男もそういない。
しかも、女官よりも遙かに身分の高い多子のことも、敬う気配も見せないのだ。
「とりあえず、右丸のところに私も行きたいのですが、その手段がないということです」
女官の視線を逸らすように、呉羽は当面の問題を口にした。
その呉羽にも、女官は怪訝な顔を向ける。
「呉羽様は、高名な外法師様でしょう? ならば、渡りなど付けずとも、屋敷内に入ることぐらい、わけないことなのではないですか?」
今度は呉羽が怪訝な顔をする。
「お姿を見えなくするとか、瓢箪の中に入るとか、そういうことは、簡単なのじゃなくて?」
「・・・・・・どこで仕入れた知識かは知りませんが、そんなこと、普通はできませんよ」
呆れ気味に言う呉羽に、女官は一瞬きょとんとしたが、ぱっと顔を赤く染めた。
よくあることだが、どうも世間の人間というものは、外法師や陰陽師を人ならざる力の持ち主と思っているようだ。
確かに人とはちょっと違った力はあるが、それは常人よりも感覚が優れているだけの話である。
無から有を作り出したり、有を無にする力などない。
けけけっと笑うそはや丸に、女官は微妙な顔をする。
普段、このように官位もないような男と語らうことなどないのだろう。
そもそも、左大臣家の女官にこのような物言いをする男もそういない。
しかも、女官よりも遙かに身分の高い多子のことも、敬う気配も見せないのだ。
「とりあえず、右丸のところに私も行きたいのですが、その手段がないということです」
女官の視線を逸らすように、呉羽は当面の問題を口にした。
その呉羽にも、女官は怪訝な顔を向ける。
「呉羽様は、高名な外法師様でしょう? ならば、渡りなど付けずとも、屋敷内に入ることぐらい、わけないことなのではないですか?」
今度は呉羽が怪訝な顔をする。
「お姿を見えなくするとか、瓢箪の中に入るとか、そういうことは、簡単なのじゃなくて?」
「・・・・・・どこで仕入れた知識かは知りませんが、そんなこと、普通はできませんよ」
呆れ気味に言う呉羽に、女官は一瞬きょとんとしたが、ぱっと顔を赤く染めた。
よくあることだが、どうも世間の人間というものは、外法師や陰陽師を人ならざる力の持ち主と思っているようだ。
確かに人とはちょっと違った力はあるが、それは常人よりも感覚が優れているだけの話である。
無から有を作り出したり、有を無にする力などない。