妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 ちなみに外法師とはいうものの、その名の通り怪しげな外法を使うわけではない。
 死人を蘇らせたり、呪いの類は外法といい、表向きは御法度である。
 だが外法師と呼ばれる者全てが、そういった術師なわけではないのだ。

 この京で、陰陽寮に属さないでそういった術を生業とする者を、総じて外法師と呼ぶ。

 陰陽寮など貴族御用達。
 そのようなところに入るには、それなりの家柄でなければならない。
 故に、陰陽師より外法師のほうが、遙かに多いという事態になっているのだ。

 呉羽は京の北、蓮台野に居を構える外法師。
 見目麗しく、うら若い娘だが、大きな妖刀を操り妖(あやかし)と互角に渡り合う、立派な術師である。

 腕は確かだし、見かけも貴族の姫君にも引けを取らないが、葬送の地である蓮台野に平然と居を構える辺りといい、そこで一人(?)で暮らしているところといい、『巫女姫』という呼び方とは程遠い。

 右丸の憂いのように、和歌など解する風情など、実は欠片もないのだが。

 好いた女子(おなご)は良く見えるのか。
 右丸の中では、呉羽はすっかり近寄りがたいまでに神々しい、崇めるべき存在のようだ。

 そんな右丸の気持ちを知ってか知らずか、彼の中の烏丸は、ひそりと笑いを噛み殺した。
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