妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
「右丸に入ってるときから、何かお前は可愛かったものな」

「えへへ~、そう?」

 烏丸も、嬉しそうに呉羽にじゃれつく。
 右丸のときは、身体が大きかったこともあり、呉羽にも、そうじゃれつくこともなかったが、今は呉羽の膝に、ちょこんと乗れるぐらいだ。

 楽しそうに遊ぶ二人(一人と一羽と言うべきか)を、そはや丸はぼんやりと見つめた。

 しばらく経ってから、やっと呉羽が思い出したように、そはや丸を振り返った。

「そうだ。そはや丸、右丸は? 烏丸は元気だが、右丸も平気なのか?」

 所詮右丸など、呉羽の中ではこの程度だ。
 そはや丸は、密かに満足する。

「さぁな。多分大丈夫だろ。あれでも長く烏丸を体内に飼ってた奴だ。多少の無理も利くだろうさ」

 ぶっきらぼうに答えるそはや丸に、呉羽も興味なさそうに、ふぅん、と応じる。
 烏丸だけが、少し同情したように、ぺしぺしと羽で呉羽の腕を叩いた。

「ねぇねぇお姉さん。右丸ね、とっても苦しんでたのよ。そはや丸が妖の道を作ってくれたんだけど、何だかおいらと右丸、相性良くって、なかなか出られなくて。右丸ね、とってもとっても苦しそうだったの」

「そうなのか。・・・・・・そうだなぁ、お前の念も、結構強かったし。そうそう、あんな念飛ばして、お前は大丈夫だったのか?」

 呉羽の心配は、すぐに烏丸に移ってしまう。
 そはや丸は、くくくっと肩を震わせた。
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